若い頃は某競技に取り組んでいた。
マイナー競技だが、高校生の時にはそれなりに期待された選手だったこともあり、未来は明るいに違いないと信じていた。だが大学で現実に打ちのめされる。自分は特別な人間ではなかった。
そんな中でも、それなりに努力してソコソコの結果を出した。とはいえ一流とは程遠く、そこら中にゴロゴロいるその他大勢の中の一人。勝利とは無縁の、辛く苦しいことの方が多い競技生活だったが、そんな自分にも時々幸せな瞬間が訪れることがある。
理想を追い求め、鍛えに鍛え続けた身体が、遂にイメージした通りに動いた瞬間。誰に勝った負けたではなく、自分の身体を意のままに操る至福の時。あれを他人に説明するのは難しい、そうなったことがある者にしかわからない感覚。勝てない人間にも努力が報われる瞬間は訪れるのだ。
プロットを書く喜びも、この感覚に通じるものがある。不採用の連続にもめげず研究を続け、投稿を重ね、遂に採用された作品が公開された瞬間。長年想い描き続けて来た理想が、映像となって目前にある至福の時。これもまたそうなったことがある人にしか説明できない。
雲の上の他人と比べても意味がない。どうせ、どこまで行ったところで必ず上には上がいるのだ。だが、並の人間にも努力が報われる瞬間は必ず訪れる。